ものづくりの精神は、施設管理にも共通する
― 普段の業務内容について教えてください。
施設管理部は、工場の根幹となる「動力インフラ」を24時間365日支えている部署です。具体的には、工場で使われる電気やガス、水などの動力供給を支えています。 その中でも私は施設管理担当として、水処理(上水、中水、下水)に関する部分を担っています。半導体製造には超純水といわれる不純物がほとんどない水で半導体ウエハを洗浄する工程があり、その超純水の精製や、ガス・薬液が混合した排水の処理(リサイクル)に携わっています。
― なぜ転職先として、キオクシア岩手を選んだのでしょうか?
キオクシア岩手の工場がどんどん出来上がっていく様子を見て、「これだけ大きな工場で仕事をしてみたい」と思うようになり、転職にチャレンジした次第です。
― 前職で培ったスキルや経験は今の仕事に生きていますか?
生きています。前職では化学の知識を使って仕事をしていたのですが、今も排水処理の際に化学的な知見が必要です。また、通常とは異なる変化が生じた場合に、起きている事象や原因を追求する際はロジック(論理)とプロセス(手順)が大事であり、そのような考える力が役に立っていると感じます。
あとは、お客さまのために仕事を行うという、ものづくりのベースとなる精神は変わらないと思います。今の仕事のお客さまであり、仲間でもあるのが製造担当の皆さんです。皆さんが工場で製品をつくる上で必要な「動力インフラ」を施設管理部が供給している。その基本的な考え方は一緒ですね。
― 施設管理の仕事はどのように覚えていったのでしょうか?
ベテランの先輩の元でのOJTをメインに、仕事を覚えていきました。また、中途入社が多い部署なので、部署として教育資料を作ろうという動きがあり、担当ごとに教科書となる資料作りをしましたね。自分が勉強しなければ教科書は作れませんから、さまざまな人に質問していく中で、知識を深めていけたと思います。業務範囲も広く、時には深耕も必要な職場のため、「自ら考え、行動する」ことが重要だと感じています。

常に安定した動力の供給があるのは、当たり前ではない
― 施設管理の仕事の面白さについて教えてください。
工場の根幹となる「動力インフラ」を24時間365日支える部署ということもあり、水や電気をきっかけに製造を担当する皆さんをはじめ、さまざまな人と接点があります。現場の皆さんに納得してもらって水の使用量を減らすなど、成果が得られたときは大きな達成感があります。
また、超純水は工場内の敷地で委託先の企業が精製してくださっていますので、その方々とのやり取りも多いですね。対等に話をするには、我々も委託先の企業の仕事や精製の工程などを理解する必要があり、勉強も欠かせません。
― 仕事をする上で、大事にしていることを教えてください。
チャレンジと安定のバランスです。新しいチャレンジがイノベーションにつながりますが、工場の安定という視点で考えれば、チャレンジは安定から逆行する面もあります。変革を起こす精神は持ちつつも、工場の基盤は最低限保たなければいけません。
そこのバランスを取るためにも、優先順位を決めています。変化を起こしたい時は、「動力インフラの供給に支障はないか」「今ある設備に副作用を及ぼすことはないか」を判断基準とし、少しでも抵触するのであれば見送るといったように、白黒つけて考えられるようにしていますね。
ただ、その変化によってコストが下がるのであれば、最大限検討はするようにしています。会社の利益を考えれば動力のコストダウンは重要であり、特にお金のかかる排水リサイクルは24時間365日影響するので、ウエハ製造部、プロセス技術部、委託会社の皆さんとディスカッションを重ねながら改善策を創出しています。

キオクシア岩手の影響力を自覚し、それをプラスにする使命がある
― 成長を感じる瞬間について教えてください。
視野を広げて仕事をするようになったことに成長を感じます。前職でものづくりをしていた時は自分の仕事の範囲しか見ませんでしたが、今は関係者と整合しなければうまくいかないこともあり、自分の専門はもちろん、それが他の人にどう影響するのか考えながら動くようになりました。
また、若手のメンバーとの業務の機会が増えました。社内には若手が多い一方で、四日市工場からの出向者や私のような40代の中途入社者もいて、若手がのびのび働ける環境を我々ベテラン層が作れているかなと思います。今後は若手が台頭していく時代が来るのだろうと期待しているのと同時に、育成に責任感を持つようになったことにも成長を感じます。
― 最後に、今後の目標を教えてください。
コスト改善や品質維持に関する新しい提案をできたらいいなと思っています。
これだけ大きな工場で仕事ができる環境は、東北全体で見てもそう多くありません。岩手県にとっても非常に影響力の大きい会社であり、いろいろな意味で注目されています。
特に我々の仕事は、水質汚染などの環境への影響を考慮する必要があり、キオクシア岩手の影響力の大きさを自覚した上で、それを良いものにしていくのが使命だと思っています。それを忘れず、責任を持って仕事に取り組んでいきたいですね。

志望者の方へのメッセージ
施設管理の仕事は影響範囲が大きい分、緊張感を持って仕事をする必要がありますが、
大きな規模でさまざまなことをやっている会社なので、その分大きな仕事をするチャンスもあります。チャレンジしたい気持ちがある人にとって、恵まれた環境があるのではと思いますね。