「仕事の面白さ」で転職先を探した結果、岩手で働くことに
― 普段の業務内容について教えてください。
製品技術部は、四日市工場で開発された新製品を北上工場で量産するにあたり、量産の工程を考える部署です。私はその過程で発生した不良の原因を突き止め、改善策を調べるグループで仕事をしてます。
― なぜ転職先として、キオクシア岩手を選んだのでしょうか?
前職では自動車工場で品質保証の仕事をしていたのですが、勤務先が中国の大手企業に買収されてしまったことをきっかけに転職を考え始めました。
キオクシア岩手は大きな工場で、これまでの経験を生かせるだけでなく、立ち上げから間もない中でゼロから作り上げられる点に惹かれましたね。私は群馬県出身で、前職の勤務先は神奈川県。岩手県を訪れたことはなかったのですが、場所にこだわりはありませんでしたし、純粋に仕事の面白さで選びました。
― 前職と今の仕事に共通点はありますか?
取り扱っている製品のサイズや材料は異なりますが、不良が出た時に原因を追求して改善策を考えるという業務自体は同じであり、仕事の考え方や流れは製品が変わっても共通します。
不良の原因が見つかる保証はなく、分からなくて当たり前で、分かればラッキー。「きっと見つかる」と期待しながら向き合いますが、同時に「見つからないだろう」という気持ちも持ちながら、根気良くやっていく必要があります。この向き合い方自体は変わりません。
― 半導体製品にはどのように慣れていきましたか?
調べたり、周りに聞いたりしながら慣れていきました。1カ月がたつ頃にはだいぶ仕事の感触がつかめたかなと思います。というのも、私が転職した当時はまだまだ立ち上げ中という雰囲気もあり、みんなで勉強しながら仕事の流れを作っているような状況でした。わからないことを周りに聞きながら仕事を進めるのは当然という空気がありましたね。だから私に知識がないという前提で、丁寧に教えてもらえたなと思います。自分だけ遅れをとっているわけではなく、周りも同じような状況にあったから気負わずにいられました。そういう雰囲気は今もあまり変わらないと思います。半導体の知識を持った状態で転職してくる人はほとんどいませんから。

「みんなで一つの製品をつくる」意識を持てる理由
― どのような時にやりがいを感じますか?
不良の原因は、もちろん答えがわからない状態で探します。原因は本当にさまざまで、想定外のものも多く、そこが難しさですが、予想が当たった時はうれしいですね。「ほら、言った通りじゃないか!」みたいな感じになります(笑)
作業は自分一人でやっているわけではなく、みんなで不良の原因を予想したり、解析結果を見て話し合ったりしながら進めています。不良には責任を持って向き合うものの、自分が全責任を負うわけではありません。
例えば、大きなトラブルの早期解決が求められた時、2週間経っても結果が出ず、他の拠点に助けを求めたところ、横浜の拠点に同様の事例があると判明したことがありました。「もっと早く相談していればよかったのに」という話なのですが、周りの人たちは同じ失敗を繰り返さないためのシステムづくりを提案してくれました。
このように、たとえ失敗しても前向きに捉えてくれる人が多く、ネガティブにならないのが良いところです。そういう意味でも「みんなでやっている」意識があると思います。
― 仕事をする上で、大事にしていることを教えてください。
出てきた結果について、相手が理解できるまで丁寧に伝えることです。結果を伝える相手は製造現場など他部署も含まれ、部署が違えば知らない単語も出てきます。私たちが解析にお金を使うだけでは利益につながらないので、改善につなげるためには自分たちの仕事の成果をしっかり伝えるのが大事です。
また、実は私たちも現場の装置についてはあまり詳しくありません。結果を伝えた時に「それはうちの装置と理屈が合わない」「こういう原因であればこの装置が怪しい」など、新たな視点やアドバイスをもらうこともあります。そういう意味でも、現場とのやり取りは重要ですね。
― 他部署とコミュニケーションを取るにあたって気をつけていることはありますか?
あまり意識したことはないですね。そもそも部署同士の壁がなく、部署横断で行うウェブの定例会もあり、多い時は200人近くが参加します。普段から顔を合わせていれば、「困っているから助けてほしい」と言えるし、「相手の力になろう」とも思えますから、結果として話しやすさにつながっているのだと思います。
大きな工場なので仕事は細分化され、それぞれの担当範囲は限られるのですが、材料を入れてから完成品をお客さまに届けるまでの流れは一つであり、「自分のところだけでは完結しない」という思いはみんなが持っていると思います。だから協力しながら進めようという意識があるのでしょうね。それもまた、普段からコミュニケーションをとっているから醸成されたものだと思います。

関わる人とコミュニケーションが増えたことによる成長
― 自身の成長を感じる瞬間について教えてください。
結果をまとめ、伝えるのは上手になったと思います。相手に結果を理解してもらうには、筋道立てて論理的に説明する必要があり、それを繰り返すうちに成長した実感がありますね。
その背景には、関わる人が増え、人とのつながりが濃くなったこともあると思います。前職では会議への参加者は限られていましたし、やり取りも基本的にメールでしたが、今は顔を合わせる人数も機会も増えました。そこは大きな違いです。
あとは、思い通りにいかないことが多いので、根気強くなったかもしれないですね。不良の原因は早ければ3日で分かりますが、時には1年かけても分からず、最後まで原因不明のまま終わってしまうこともあります。他拠点や本社の設計や開発を巻き込んで議論するところまで力を尽くしても、原因が見つからないことはありますから。
― 技術者として、キオクシア岩手の魅力はどこにあると思いますか?
環境はかなり良いと思います。まず、上下関係があまりなく、フラットな組織文化です。大企業なので縦割り社会なのかなと思っていましたが、全く違いました。上の人は話しやすく、悩んだ時に相談しやすい環境がある上で裁量を与えてもらえるのは魅力だと思います。もちろん丸投げではなく、フォローもあるので安心です。
仕事のやり方も固定されていませんし、必要なITツールなどを申請する窓口もあり、仕事のための投資はしてくれる印象です。建物も新しく、先端の解析設備も入っています。
― 最後に、今後の目標を教えてください。
製品を作る全体の流れを知るために、装置を触ったり、パラメーターをいじって結果を見たりと、他の部署の仕事にも挑戦してみたいです。今の仕事のレベルアップのみならず、私の知見や視点が他部署で生きることもあると思うので、そうやってWin-Winになれたらいいなと思います。

志望者の方へのメッセージ
仕事そのものは嫌いじゃないけど、人間関係や職場環境など、「業務以外でつらいポイントがあり転職を考えている」という方の話をよく聞きます。その点、キオクシア岩手は業務以外の環境も良い会社です。
転職は基本的に、今よりも良い状態を目指して行うものだと思いますが、私の周りで働いているキオクシア岩手の人たちは、その思いを今も持ちながら、働く環境がもっと良い状態になるよう意識しています。なので、ぜひそういう向上心のある人は一緒により良い仕事、職場を目指して、楽しい人生を送れるように頑張りましょう。
最後に、県外の方には「岩手は良いところだよ」と伝えたいです。 住環境としても北上は意外と都会で、街でも暮らせますし、少し街を離れれば穏やかな風景もあります。寒さについてはストーブがないと厳しい日もありますが、今のところ生活に困るような積雪もありません。食べ物はおいしく、特に「北上コロッケ」という里芋のコロッケがおすすめですよ。