「先端技術でチャレンジしたい」と技術革新の最前線・半導体業界に転職
― 普段の業務内容について教えてください。
製造支援を担当しています。製造現場がやるべき仕事に注力できるよう、システム面で業務を改善したりサポートしたりするのが主な役割です。いわば製造部のスタッフ職ですね。
半導体の製造工程は自動化が進んでおり、製造の現場ではいかに効率良く製品を生産するかを日々検討しています。生き物のように随時変わる生産状況に応じ、生産コントロールや装置のメンテナンスの計画などを行っているわけです。
その過程で発生する「こういうことがしたい」という現場の要望に対応するのが、製造支援の役割。現場が求める変化のスピード感に対応してシステムを作ったり、BIツールなどを用いて製造工程で生成される各種ビッグデータを収集・分析し、結果の見える化を行ったりしています。
― なぜ転職先として、キオクシア岩手を選んだのでしょうか?
新しい分野でさらにスキルを伸ばしたいと思ったのが一番の理由です。前職では主に大型の電動機の製造に携わり、生産技術を担当していましたが、より最先端の技術に携わり、新たなチャレンジをしたいと強く思うようになりました。
その点、半導体業界は技術の進化がかなり早く、技術革新の最前線です。キオクシアはデジタル社会に不可欠なメモリを作ってますし、キオクシア岩手はその中核を担う企業であり、その点も魅力的でした。半導体の経験はありませんでしたが、自分の得意分野を生かして新しい挑戦ができ、成長できるのではという期待がありましたね。
また、当時は関東で仕事をしていたので、出身地である北上市で働けることにも意義を感じていました。
― 実際に、前職で培ったスキルや経験は今の仕事にも生きていますか?
製品は異なりますが、視点は共通していると感じます。業務改善の際の現状分析手法、プロジェクト業務の推進など、仕事の進め方はそのまま生かせている実感がありますね。

製造現場に真摯に向き合うことで、改善効果は最大化する
― どのような時にやりがいを感じますか?
導入したツールが業務効率の向上につながり、作業時間の短縮や稼働率アップなど数値として成果が見えた時です。
例えば、現場の稼働や生産状況の数字をリアルタイムで示すシステムを立ち上げたことがあります。
私が転職した当初、多数の製造装置のメンテナンスのタイミングは、毎日現場が工場の状況を踏まえながらビッグデータを駆使して計画を立てていました。工数の負担はもちろん、データをまとめ終えるのに2時間近くかかることから、リアルタイムの状況把握ができない課題もありました。
それに対し、システムで瞬時に現状を確認できるようにした結果データの鮮度が上がり、従来は現場の熟練者が計算していた工程を全てシステムに置き換えたことで、現場がどのようなアクションを取ればいいかを自動で示せるようになりました。
今では重要なツールとして毎日現場で使ってもらっています。「使いやすい」「作業が一瞬でできて楽になった」と感謝の気持ちを言ってもらえることも、やりがいを感じる瞬間ですね。
フィードバックを直接もらえる関係性が、仕事のやりやすさや働きやすさにもつながっているように思います。
― 製造支援の仕事をする上で、大事にしていることを教えてください。
やはり製造現場を一番大切にすることです。「課題は現場にある」というスタンスを忘れてはいけないと思います。
その際、現実的な改善策を考えるのが重要です。机上の空論でも、一方的な提案でもなく、本当に現場の人が実務で役立てられるものをつくる。持続可能な改善支援を行うことで信頼関係ができ、その積み重ねによって改善効果は最大化すると思っています。その姿勢をこの先もずっと大切に、業務に取り組んでいきたいです。
― 現場の困り事はどのように拾い上げているのでしょうか?
現場にきちんと向き合うことを何より意識してます。現場の声に耳を傾け、同じ方向を向いて一緒に頑張ろうと真摯に取り組んできたことで、徐々に現場から直接声をかけてもらえるようになったと思います。適当な仕事をして「思った通りのものを作ってくれない」と思われてしまっては、相談をしてもらえませんから。

入社後の苦労が「ない」理由
― 成長を感じる瞬間について教えてください。
データの扱い方は成長したなと思います。データベース関連はだいぶ勉強しました。前職でビッグデータを利活用する機会がなかったので最初は戸惑いましたが、学びながら日々製造現場で生成される膨大なデータを扱う中で、データの使い方や分析の手法など、だんだんと洗練されていったと実感しています。
また、PythonやVBAといったプログラミング言語、BIツール、RPAの操作も新たに獲得したスキルですね。「こういうツールが欲しい」と現場から求められたことに対し、一つずつ応える中で習得していきました。
最先端の技術に携わりたいというのが転職の動機でしたが、イメージ通り半導体業界は競争が激しく、新しい先端技術の活用にも積極的です。その点は期待通りで、技術者としてしっかり成長できている感覚があります。
― 入社後、業務に慣れるまでに苦労したことはありますか?
正直、あまり苦労はしていないですね。半導体の専門知識については社内の教育制度がしっかりしていましたし、もともと新しい技術を習得したい意欲は強かったので、楽しくやっています。先端技術にも触れられ、やりたいことが次々出てくるからこそ、苦労している感覚がないのでしょうね。
また、チャレンジに寛容な環境で、意見やアイデアを受け入れる姿勢が根付いているのも大きいですね。キオクシア岩手は大企業なので、入社前は上下関係が厳格なのではと思っていましたが、実際は役職や社歴に関係なく、理論に基づいた合理的な提案をフラットに受け入れる風土があります。
私の上司も「どう思う?」と意見を聞いてくれますし、提案も積極的に聞き入れてくれています。少なくとも私は、理不尽に「やるな」と言われたことは一度もありません。
大きい会社なのでさまざまな人がいて、異業種出身者も多く、多様な価値観を持った人が集まっています。いろいろな人がいて、だからうまくバランスが取れているのかもしれませんね。
― 最後に、今後の目標を教えてください。
製造部門には現場の負荷となっている業務がまだまだありますので、皆さんがやるべきことに対し、楽に集中できる環境づくりを進めていきたいです。入社してから先端技術について理解し、それらを扱うスキルが身についたからこそ、改めてそう思えています。
今は3人のチームで、広い範囲の現場を担当しています。一人ではとても現場の要望をかなえられませんが、チームであればできることも広がります。「現場に応えたい」という思いで、チームの力を最大化する方法を日々考えています。それもまた楽しいですね。

志望者の方へのメッセージ
私自身、総合電機メーカーの生産技術という全く異なる分野からの転職で、これまでの経験は役に立つのか不安でしたが、実際にはこれまでの経験を十分に生かせる環境がありました。むしろ異なる視点や考え方、専門性を持ち込むことで、新たな価値を創出できる可能性は高まると感じています。
半導体業界は技術の進化が非常に早く、新しい知識やスキルを学び続ける機会が豊富にあり、常に自分を高められる環境です。学び続ける意欲と、変化を前向きに捉えて能動的に考えて行動する力があれば、異分野からの転職でも大きく活躍できるはずです。
転職には不安と期待が入り混じると思いますが、自分自身の可能性を信じ、ぜひ新たな一歩を踏み出してください。一緒に新たな価値を生み出せることを楽しみにしています。