半導体装置を「作る立場」から「使う立場」へ
― 普段の業務内容について教えてください。
製造現場のクリーンルームで、製造装置のトラブル対応を行っています。部署は工程ごとに班分けされていて、私の工程は複数の班で交代勤務をしています。各班内でメンテナンス担当やトラブル担当などに分かれ、私の班は4人でトラブル担当を担っています。
トラブルの発生件数は日によってばらつきがあり、1日何も起きないこともあれば、4人それぞれが2〜3台の装置を抱えても追いつかないこともあります。装置の調子や生産量によってかなり波がありますね。
― なぜ転職先として、キオクシア岩手を選んだのでしょうか?
前職は半導体装置メーカーで、装置の製造に携わってました。キオクシア岩手は私が製造していた装置を導入している会社であり、「岩手県北上市から世界へ」というメッセージに惹かれたことが転職のきっかけです。そのチャンスがあるなら、ぜひ挑戦したいと思いました。
また、当時作っていた装置が完成後にどういう風に動くのか、どうやって半導体が作られていくのか、現場を知りたい気持ちもありましたね。
― 実際に装置を使う立場になって、いかがですか?
私は前職のメーカーの装置を担当していますが、自分が作っていた装置なのに、知らないことがたくさんありました。やはり作る側と使う側では、触るところが異なります。
特に安全への意識は大きく変わりましたね。前職で危険物を扱うことはありませんでしたが、半導体はさまざまな薬品やガスを使用しながら作るので、そこは全くの別物です。労働災害を発生させないよう、安全面はしっかり勉強しました。
また、前職では手順書通りに作業をしていれば基本的に問題は起きませんでしたが、今の現場で装置に生じるトラブルは本当にさまざまです。事例があれば記録を見ることができますが、前例がない場合は原因を特定して復旧するまでの作業をできるだけ早くやらなければいけません。そこも前職との大きな違いですね。
― 製造部は交代勤務ですが、どのような働き方になるのでしょうか?
昼勤は朝7時から夜19時、夜勤は19時から次の日の朝7時で、4日働いて2日休むのが基本の勤務形態です。昼勤で4日働き、2日休んで、夜勤で4日働き、2日休んで……を繰り返します。
私には5歳と0歳の子どもがいて、5歳児はほぼ怪獣なので、夜勤中の土日の昼間はなかなかゆっくり寝られず、苦労しています(笑)

トラブル対応で大切なのは「焦らない」こと
― どのような時にやりがいを感じますか?
前例がないトラブルが起きた時に、他部署を含めたいろいろな人と会話をしながら原因までたどり着けた瞬間は気持ち良さがあります。
なぜトラブルが起きたのか、その原因を考えていく中で、「これがこうだから、こうなったのか」と点と点がつながることがあり、それが面白いなと思いますね。メーカーで装置を製造していた時には味わえなかった感覚です。
トラブル対応時は他部署と接する機会も増えますが、交流を重ねるうちにお互いの仕事の理解も深まり、それもまた醍醐味だと感じます。
また、自分たちで考えた改善策の効果が見えた時もやりがいを感じます。トラブルから装置を復旧する際は、次に同じことが起きないように改善策も一緒に行います。改善策を考える時間も、年間50件あったトラブルが翌年は10件に減ったなど、分かりやすく成果が出た時も、どちらも面白いですね。
― 仕事をする上で、大事にしていることを教えてください。
焦らず、冷静になることです。それは後輩にも伝えています。装置がトラブルを起こした時は、いかに早く復旧させるかが重要です。生産に影響を出さないようにしなければいけませんので、時間との戦いでもあります。生産を管理しているグループをはじめ、多方面から早期対応を求められますし、そこにはプレッシャーもありますが、だからといって「これでいいだろう」と妥協して進めるわけにはいきません。
そこはバランス感覚が問われますね。どの程度の対応をするべきか、現場の生産の状況を踏まえながら冷静に判断し、落ち着いて対処する必要があります。私は周りから「落ち着いている」と言われますが、焦りから二次災害を生むのが一番の無駄ですから、そこは意識していますね。

目標は新棟にゼロから装置を搬入し、立ち上げに携わること
― 職場の雰囲気を教えてください。
会話が多く、相談したり意見を言ったりしやすい環境です。上司も意見を求めてくれますし、話をしっかり聞いてくれます。私自身も同じ班の後輩に対し、「自分の意見はどんどん言ってね」と伝えてますし、聞くようにもしています。少人数な分、そういう環境はつくりやすいかなと思います。
普段から「次の休みは何をする?」みたいな会話も多いですし、職場の雰囲気はかなり良いですね。交代勤務で平日休みが多く、学生時代の友人とは時間を合わせにくいですが、代わりに同僚と休日に会うことも多いです。
― どのような時に成長したと感じますか?
頼りにしてもらえた時です。入社して丸4年になりますが、装置について相談されることが増えてきたと感じます。
最近では仕事の合間に、私が前職で行っていた作業を後輩に教えています。たまに社内で対処できないトラブル対応を装置メーカーに依頼することがあるのですが、私のような装置メーカーからの転職者が技術を工場内で展開できれば、自社で対応が可能になります。それは自分がやるべきことだと思っているので、今まさに注力しているところです。
― 最後に、今後の目標を教えてください。
新棟の立ち上げに携わることです。ゼロから装置を搬入し、自分たちで立ち上げる経験がしたいと思っています。
その意思表示は上司にしていますが、現状は私が新棟に移ることで既存の建屋のトラブル対応の質が下がる懸念があるとフィードバックを受けました。今後のチャンスをものにするためにも、まずは後輩をしっかり育てていきたいです。
四日市工場のように、北上工場の建屋は今後さらに増える可能性があります。これから入社する人にもそのチャンスはたくさんあると思いますね。

志望者の方へのメッセージ
キオクシア岩手は、チャレンジができる職場です。「岩手県北上市から世界へ」を掲げ、そのために建設された新棟をより良いものにしていく仕事は、この先もしばらくはできるのではと思います。チャレンジしたい人にとって、とても良い環境です。
装置のトラブルに対応するには装置の原理原則の理解が不可欠ですが、入社後はメンテナンスから経験し、徐々にトラブル対応を覚えていくのが基本の流れになります。半導体の知識や経験がなくても仕事を覚えられる環境も整っていますし、周りにも未経験で入社した人は多くいます。ぜひ安心してエントリーしていただけるとうれしいです。