

- 神垣 哲也
- 生産技術部 部長
最先端の技術があり、世界で1、2位を争う技術者集団の一員として、自分自身も成長したいと思ってキオクシアに入社しました。現在担当している仕事は、フラッシュメモリの製造工程のひとつである、検査計測装置の生産ライン構築、環境整備および管理です。フラッシュメモリは成膜・加工と検査計測を何度も繰り返すことで製造しますが、検査と計測は製品の信頼性を担う重要な工程。欠陥や異常があれば正確に検知し、加工工程にフィードバックすることで、スムーズかつ効率的な品質改善や歩留まりの維持に貢献しています。一括りに検査・測定と言っても様々な領域があり、その中で私はウェハの表面・裏面・端面の欠陥をマクロ的に検出する装置を担当。目に見えない微小な欠陥ではなく、人が見て分かる欠陥を自動かつ正確・スピーディーに検出することが求められます。
学生時代は機械科だったので、半導体や検査についての知識や経験は全くありませんでした。でも最初は先輩が付きっきりで指導してくれましたし、資料を読み込むことで仕事を覚えることができました。先輩方が作成してくれたわかりやすい資料があったので、とてもありがたかったです。入社から4年が経ちできることは増えましたが、まだまだ知識は足りないので日々勉強を重ねています。
検査業務における重要な仕事のひとつに、検査装置のレシピ作成があります。レシピとは、検査装置の設定条件のこと。製品や工程ごとに、最も高い精度で検査ができるようにパラメーターを調整し、ベストな設定条件をつくります。レシピの精度が高いほど異常を検知しやすくなり、加工工程における歩留まりが高まりますし、反対にレシピが適切でなければ生産にマイナスの影響が出てしまいます。非常に重要な役割であり、だからこそ上手くいったときの達成感は大きく、量産に貢献できている喜びがあります。
また限られた人数で仕事をする中で、作業の効率化も求められます。そのために私たちのチームでは、それまで人の目で検査していた工程を、AIで自動化するシステムをつくりました。画像データをAIに読み取らせ、欠陥を自動で検出するシステムなのですが、難しかったのがバランスの調整です。もちろん欠陥を見逃してはいけないのですが、反対に厳しくなり過ぎて問題のない製品まで欠陥だと判断されてもいけません。画像処理の専門チームとの打ち合わせを重ね、欠陥品の画像を何千枚もAIに学習させることで、ベストなシステムを完成させることができました。長い時間がかかり苦労もありましたが、無事システムを展開できたときには大きな達成感がありました。このプロジェクトは、画像処理チームをはじめ様々な部門の協力があったからこそ実現できたもの。多くの仲間と協力しながら、同じ目標に向かって頑張れることは、この仕事の魅力だと思います。
職場には気軽に相談や質問をできる先輩ばかりで、とても働きやすいです。入社したばかりの頃、職場に配属されたのが自分だけで不安だったのですが、みんなに温かく受け入れてもらえて安心したのを今でも覚えています。それから4年が経ち、キオクシア四日市工場からキオクシア岩手に移りましたが、何でも話せるような温かい雰囲気は変わらないですね。今は後輩もいるので、先輩たちにしてもらったように優しくしているつもりです。後輩には、自主性を重んじて「とにかくやってみよう」という方針で接しています。
また仕事の調整がしやすいので有給も無理なく取ることができ、プライベートも充実しています。初めて東北に住み、先輩に色々なお店に連れていってもらいましたが、やっぱり食べ物が美味しいですね。また、せっかく東北にいるので、これまでやったことのなかったスキーにも挑戦したいと思っています。
将来の目標は、検査計測のスペシャリストになることです。現在の担当はマクロ検査ですが、検査や計測にはほかにも様々な分野があります。今特に興味があるのは、ウェハ上に成膜された膜の厚さをサブナノメートル単位で測定する膜厚測定という工程。ほかにも、配線の太さを測る寸法計測、ウェハ上の異物を見つけるパーティクル検査など色々あるので、新しい分野にもどんどんチャレンジしていきたいです。そして一通りの知識やスキルを身につけ、スペシャリストと呼ばれることが目標。まずは膜厚測定の技術を、2年後までに身につけたいです。
2019年6月取材時の内容です。