

- 神垣 哲也
- 生産技術部 部長
世間からも大いに注目されている巨大な新工場が、いよいよ岩手で立ち上がります。私たちがこれから挑戦していくのは、デジタル社会に欠かせないフラッシュメモリを安定的に生産し、世界に向けて供給していくこと。これほどスケールの大きな新工場の立ち上げは、技術者にとって一生に一度経験できるかどうかというビッグイベント。私自身、当グループの前身である東芝が発明したNAND型フラッシュメモリの量産初期から30年以上に渡って製品技術と品質を究めてきましたが、新しい工場の立ち上げを担うのは初めてであり、いまとても興奮しています。
これから参加される若い技術者のみなさんは、完成したばかりの新工場で最先端のフラッシュメモリを製造する仕組みをゼロから作り上げていくことに、入社当初から取り組んでもらうことになります。こんなチャンスはそう手に入らないと思いますし、とてもエキサイティングな経験ができるはず。新たに生まれ変わったキオクシアがこれからいっそう飛躍していくためにも、このキオクシア岩手に寄せられる期待はとても大きい。ぜひ成功させて、キオクシアの未来を我々が背負っていくのだという、そんな気概でみなさんと一緒にチャレンジしていきたいと思っています。
私たちは現在、フラッシュメモリで世界のトップクラスの地位を占めています。その原動力は、技術者誰もが自由に意見が言えるフラットな風土から生まれています。前身の東芝時代からフラッシュメモリの開発・製造現場では、年齢や役職に関係なく技術者が対等に議論する文化がありました。私も若い頃、少し生意気なぐらい社内で意見していましたが、上司はそれを受け入れてくれて、価値のあるアイデアならば積極的に採用してくれました。
フラッシュメモリはまだまだ進化の途上にあり、まだ世の中で実現されていない技術開発に挑戦する機会もたくさんあります。誰も確かな答えを持ちえていないので、そこに関わる技術者全員の知恵を集めなければ、最先端を突破することはできない。前例のないテーマばかりなので、ベテランの考えが正しいとは限りませんし、むしろ若い人たちの常識にとらわれない、斬新な発想のほうが問題解決につながることも多い。こうして誰もが自分の考えを自由にぶつけて議論していく風土があるからこそ、そこからブレイクスルーが生まれ、これまで世界で勝ち抜くことができた。そうした風土は岩手でも継承しており、これから入社されるみなさんのアイデアにも大いに期待しています。
いま世の中では日々、膨大なデジタルデータが生み出されています。みなさんがスマホで写真を撮ったりSNSに書き込むのもそうですし、ビジネスの現場でも絶えず大量のデータが作成されています。加速度的に膨れ上がるデータを記憶するメモリの重要性はますます高まっており、なかでもフラッシュメモリは技術革新のスピードがきわめて速く、大容量化とともに高性能・低コスト化がいっそう進んでいます。この業界で世界トップを争っている私たちは、時代を動かせる力を持つ、数少ない日本企業だといっても過言ではありません。
私たちがいま掲げている目標は、このキオクシア岩手が主役となって、人々や社会が生み出す「記憶」を蓄え、呼び起し、活用し、今と未来をつなぐ新しい価値を創造し世界を変えていく。私たちがこれまで培ってきた技術力に、みなさんの知恵を合わせてさらに高めていけば、必ず実現できると考えています。フラッシュメモリで世界を変えていく、そんな壮大なチャレンジを若いみなさんと大いに楽しみたいと思っています。
2019年4月取材時の内容です。