

- 神垣 哲也
- 生産技術部 部長
就職活動では、ルーチンワークでなく能動的に仕事ができる研究開発職を希望していました。東芝関連の半導体企業への入社の決め手になったのは、地元の岩手県に工場があり、大手企業なので安心して働けると思ったこと、そして福利厚生がよかったことです。現在はキオクシアの四日市工場を経てキオクシア岩手で製品の歩留まり改善業務として、不良解析を担当しています。工場で造った製品を全て出荷できればいいのですが、やはり何らかの不具合は発生します。不良品を減らすために「なぜ壊れているのか」「どこをどう変えればいいのか」といった点を突き詰め、改善策を検討・実行していきます。具体的には、まず電気的解析機器を用いてデータを検証し、欠陥のある箇所を特定。その後特定した箇所を実際に削ったり、切断して断面を電子顕微鏡で観察したりして、原因を突き止めます。
開発初期の製品の場合歩留まりが低く、多くの不良解析を実施し改善する必要があります。さらに、例えば10個の不良品があったとして、それぞれに原因が異なることも。それをひとつひとつ検証し、不良品がほとんどない状態まで改善していきます。各製造工程の技術者と協力しながら進めるので、様々な人とのコミュニケーションが必須。その工程のプロフェッショナルである技術者に対して「こういうことが起きたと思いますが、どう思いますか?」と自分の考えを伝え、意見を交わしながら進めていきます。
キオクシア岩手ではまだ量産が始まっていないため、現在は装置の準備をするほか、キオクシア四日市工場の情報を集めたり、解析業務の経験がないスタッフの育成準備などを行っています。
不良解析の業務には「解析白地の削減」というミッションがあります。不良品の中には、原因が特定できているけどまだ対策が取れていないものと、原因が全くわかっていないものがあり、後者を解析白地と呼んでいます。解析白地が減らないことには歩留まりが上がらないため、決められた期限内にいかに減らせるかが重要になってきます。不良品の中にも様々な種類があるので、早く原因が判明しそうなもの、難易度が低そうなものなど優先度を決めて効率的に解析を進めたり、電気解析のアプローチだけでなくデータ分析グループと協力してビッグデータを活用した分析を行うなど、様々な工夫をすることで何とか達成できました。
この仕事をする上で私が大切にしているのは、何かを判断するときに明確な理由を持つことです。データから不良箇所を特定して研磨や切断をしますが、その結果が想定通りでないこともあります。切断してみたけど不良が見つからないというケースもあるのです。製品に手を加えたら後戻りはできないため、その判断は重要。もっとデータの検証を重ねていたら、違うことがわかったかもしれません。でも切断してみて何も出てこなかったというのも1つのデータ。しっかりと突き詰め、誰もが納得できる判断の結果であれば、そこからまた先に進めることができます。
一緒に働く同僚は、年齢に関係なく相手を尊重するような謙虚な人が多いですね。先輩後輩を問わず、お互いに高め合いながら仕事をしています。また「昔からこうだから」とか「みんながやっているから」など後ろ向きな考えで仕事をする人はいなくて、よいものはどんどん取り入れていく風土があります。キオクシア岩手のチームは集まってからまだ1ヶ月しか経っていませんが仲がよく、さらにチームワークを深めていけると感じています。
今後の目標としては、新しい考え方や手法をどんどん取り入れて日々の業務でイノベーションを起こし、解析時間の短縮や解析不明率の低減につなげていきたいです。先日、当社で使用していない解析装置メーカーが主催するセミナーに参加したのですが、触れたことがない装置の情報や、ほかのメーカーの実例を聞いて、幅広い知識を持つことの大切さを実感しました。また、私自身のスキルも広げたいと考え、最近ではプログラミングを勉強。不良解析を行うときに初歩的なプログラミング言語でつくられた簡易テスターを用いるのですが、自分が設定したいプログラムの作成ができるようになるなど、業務効率が上がりました。ほかにも回路設計に関することなど、新たな知識やスキルをどんどん身に付け、できることを広げていきたいです。
2019年6月取材時の内容です。